2025.04.09
瀬戸大橋と共に歩む〜香川県解体業界30年の変遷

# 瀬戸大橋と共に歩む〜香川県解体業界30年の変遷
瀬戸大橋が開通した1988年から今日に至るまで、香川県の解体業界は大きな変革の波に乗りながら進化してきました。瀬戸内海に浮かぶ壮大な橋の存在が、県内の建設・解体業界にもたらした影響は計り知れません。本記事では、瀬戸大橋開通と共に歩んできた香川県解体業界の30年の変遷について詳しく掘り下げていきます。
## 瀬戸大橋開通前後の解体業界
瀬戸大橋が開通する以前の香川県解体業界は、主に小規模な家屋解体や古民家の取り壊しを中心とした地域密着型の事業が中心でした。技術も現在ほど発達しておらず、多くの作業が人力によって行われていました。
瀬戸大橋開通後、本州と四国を結ぶ交通の要所として香川県の位置づけが変わると、県内への企業進出や都市開発が加速しました。それに伴い解体業界も近代化への道を歩み始めます。
## 技術革新がもたらした解体手法の変化
1990年代に入ると、環境への配慮や安全性の向上から解体技術にも革新が求められるようになりました。従来の「壊す」だけの解体から、「分別して解体する」という考え方へのシフトが起こりました。
香川県内の解体業者も、重機の導入や専門技術者の育成に力を入れ始めます。特に注目すべきは、高松市を中心に広がった「選別解体」の手法です。これは建築物を壊す前に、再利用可能な部材を丁寧に取り外してから解体するという方法で、資源の有効活用に大きく貢献しました。
坂出市の大手解体業者である山下工業は、瀬戸大橋開通の翌年から選別解体を県内でいち早く導入し、業界をリードしてきました。
## 法規制の変化と業界の対応
2000年代に入ると、建設リサイクル法の施行により、建設廃棄物の適正処理と資源の再利用が法的に義務づけられました。この法改正は香川県の解体業界に大きな転機をもたらしました。
県内の解体業者は、アスベスト対策や廃棄物の分別処理など、法規制に対応するために設備投資や人材育成を進めました。特に丸亀市の四国解体工業では、独自のリサイクルシステムを構築し、解体材の90%以上をリサイクルする体制を確立しています。
## 災害対応と解体業界の社会的役割
瀬戸内海は比較的自然災害の少ない地域ですが、近年の異常気象による豪雨災害は香川県にも影響を及ぼしています。2004年の台風16号による県内各地の被害は記憶に新しいところです。
こうした災害時に、解体業界は被災建物の撤去や危険建物の解体といった重要な役割を担っています。香川県解体工事業協会は災害時の迅速な対応体制を整備し、行政と連携した訓練も定期的に実施するようになりました。
## デジタル化と解体業界の未来
近年、解体業界にもデジタル技術の波が押し寄せています。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用や3Dスキャン技術の導入により、解体前の建物調査や計画立案がより精緻になりました。
高松市の日本解体では、ドローンを活用した建物調査や、ARを用いた解体シミュレーションなど、最新技術を積極的に取り入れています。こうした技術革新は、作業の安全性向上だけでなく、近隣住民への説明や理解促進にも役立っています。
## 人手不足と担い手育成の課題
建設業全体の課題である人手不足は、香川県の解体業界にも影を落としています。特に重労働というイメージから若い世代の参入が少なく、技術の伝承が課題となっています。
この状況を打開するため、県内の業界団体は学校との連携や体験型のイベントを通じて、解体業の魅力を発信する取り組みを行っています。観音寺市の大東解体では、高校生インターンシップの受け入れや、解体現場見学会などを積極的に実施し、次世代の育成に力を入れています。
## SDGsと循環型社会への対応
持続可能な開発目標(SDGs)への注目が高まる中、解体業界も「循環型社会の一翼を担う」という意識改革が進んでいます。単に建物を壊すだけでなく、解体材を適切に分別し、リサイクルや再利用につなげるという責任が求められています。
香川県内では、小豆島の橘建設が木造建築の解体材を島内の伝統工芸品の材料として提供するなど、地域資源の循環に貢献する取り組みが注目されています。
## 瀬戸大橋30周年と解体業界の変化
瀬戸大橋開通30周年を迎えた今、香川県の解体業界は大きく様変わりしました。かつての「壊す」だけの業種から、環境保全や資源循環、安全確保、災害対応といった多様な社会的役割を担う業界へと成長しています。
三豊市の香川解体センターの古参作業員は、「昔は単純に力仕事だったが、今は環境への配慮や法律の知識、最新技術の活用など、総合的な技術と知識が必要とされる仕事になった」と語ります。
## これからの解体業界の展望
瀬戸大橋とともに歩んできた香川県の解体業界。これからの30年はどのような変化が訪れるのでしょうか。
人口減少に伴う空き家問題への対応や、老朽化インフラの更新需要の高まりなど、解体業界の社会的役割はますます重要になっていくでしょう。また、カーボンニュートラルに向けた取り組みとして、解体時のCO2排出削減や、解体材の適切なリサイクルによる資源の有効活用も求められています。
香川県土木部建築指導課の調査によれば、県内の解体工